飛鳥人が見たオオサンショウウオ
現在残っている、日本最古のオオサンショウウオについての記録とは?
そんな疑問にかられ、手持ちの本でそんな記述がないか調べてみたところ、ありました!
オオサンショウウオ道の大先輩にすすめていただいて初めて購入した、オオサンショウウオについての本です。ことあるごとに読み返しているのですが、この本の中で、オオサンショウウオを目撃した記録が載っている古典が挙げられていました。
それによると、
619年 摂津に住む漁夫が、堀に入れた網に「魚でもない、人の子供のようだがそうでもない、奇妙なものがとれた」(日本書紀)←!!
797/8年 宮殿の庭にある溝の中から変な魚がとれたが、それは山の沼にいるものである(日本後記)
852年 近江で猿に似た魚が獲れ、献上された。老人たちは、それは「椒魚(サンショウウオ)」であり、昔見たことがある、と言った。(文徳実録、藤原基経)
人魚感、ありますよね。手とか赤ちゃんっぽいし。
顔も、目と目の間が離れていて口が横に大きくて…このタイプの顔好きなんです、キャメロン・ディアスとか。
ジュゴンが海の人魚なら、オオサンショウウオは川の人魚ということですね。
ということを、619年、摂津の漁夫も感じたわけですね。
摂津ってどこだろう?
現在の大阪府北中部の大半と兵庫県南東部にあたるとのこと。ふむふむ。
619年ってどんな時代かというと、なんと推古天皇(聖徳太子の叔母さま)の時代なんですね。飛鳥時代です。オオサンショウウオ数千万年の歴史からしたら大したことなくても、1400年前にオオサンショウウオをつかまえてしまった漁夫の驚きを想像するとロマンです。
次の797年ですが、こちらはどんな時代かというと、坂上田村麻呂が征夷大将軍として東北地方の蝦夷を鎮圧したのがこの年。
この宮殿は都:794うぐいす平安京のことでしょうか。その庭にある溝にオオサンショウウオがいたと。そしてそれは山の、沼にいるものであると。
…沼?
そしてオオサンショウウオの印象は「変な魚」。
これはもう少し、掘り下げて調べたくなります。この場にいた人がいたら話を聞きたい。誰かが山から連れてきて、宮殿の庭の溝に放したの??
そして852年。ざっくり平安時代ですね。このときの都は平安京。
近江はなんとなくわかるけど、滋賀県。琵琶湖のある、2018年には日本オオサンショウウオの会全国大会が開催された、滋賀県ですね。夜間観察会で、生息地にも少しお邪魔させていただきました。
そして、獲れたオオサンショウウオが、献上されたんですね。天皇に?
やはり、珍しかったのは間違いなさそう。今も昔も、年長者の「昔見たことがある、そいつはね、○○じゃよ」っていうやつ、いいですよね。
古典や日本史についての知識がなさすぎて、背景が読み取れていませんが、オオサンショウウオについての日本最古の記録は、どうやら飛鳥時代に遡るようです。
読み書きができて本を残すことができた人なんてほんの一握りでしょうから、ごく普通に、生息地でオオサンショウウオと共存していた生活人たちがどんなふうに彼らと関わっていたのかはまた別な面がありそうですが、、、
先人のみなさまが記録を残してくれて、それを小原先生が読みやすい本に書いてくれて、その本を先輩がすすめてくれたことに感謝です♡
オオサンショウウオとヒトとの出会いは…
初めてオオサンショウウオという生き物を間近で見たときの衝撃は、忘れがたいものがあります。すでにおとなになって久しく、それまでにまあまあいろんな生き物を見てきたつもりでした。
子供の頃から泳ぐ魚が好きで、金魚やメダカはもちろん、庭を走り回るトカゲやカナヘビや蛙をつかまえて飼ったり、小学生のときにホームセンターで買ってもらってクサガメを飼ったり(30年以上経って立派な黒化オスとなった彼は、今も実家で元気に生きています)。おとなになってからは、ジュゴンやイルカなどに惹かれたりしていました。
前年に開館したばかりの京都水族館に遊びに行き、イルカショーを見たくて、入館後すぐにスタジアムへ行こうと急いでいました。入口すぐの「京の川」ゾーン、低めで幅広な水槽に展示されていた、折り重なるたくさんのオオサンショウウオたち(交雑種)。
そのうちの一匹が、岩のように見えていた一匹が、呼吸をしようとしたのでしょう、水底からふわあと立ち上がり、短いまえあしをぷらんとさせながら、平たいあご裏を惜しげもなく、水槽のガラス(?アクリル?)越しに見せてくれたのです。
釘付けになりました。水槽の前にしゃがみこんだまま、動けませんでした。
なんといっても驚くのは、このタイプの生き物としては破格のサイズ感。でかすぎます。
実際、サンショウウオの仲間の中で、オオサンショウウオ科の子たちだけが、急に別格のでかさなのです。ざっくり大きく分けて、日本固有種のオオサンショウウオのほか、チュウゴクオオサンショウウオ※、アメリカオオサンショウウオ(ヘルベンダー)の3種類がいますが、いずれも成体の全長は30cm以上、特に大きいものだと150cmくらいになる個体がいる種も。
※チュウゴクオオサンショウウオの種については、1種だと思われていたのが実は少なくとも5種以上に分かれていたことが判明したそうです。最新の研究がどうなっているのかは追い切れていないのですが…ご存じの方、ぜひご教示ください!
ほかのサンショウウオたちは10cm台の子たちが多いので、やはり異常にでかいといえるでしょう。
動物園や水族館でオオサンショウウオの水槽の前にしばらくいると、こんな会話をよく耳にします。
「川でいきなりこんなんいたらびびるよな~」
「こわすぎwww」
私は半島育ちで、磯の生き物にはなじみがありますが、川遊びってほとんどしたことがありません。郡上でカヌーに乗ったことはあるけど、生き物に出会えるような感じじゃなかった。もし日常的に川で遊んでいて、岩の下からこの子たちがぬっと登場したら、、どんなふうに感じるんだろう?
そして2300万年前から姿を変えずに存在しているというオオサンショウウオは、人類よりもずっと前から日本列島に棲んでいるはず。人間が初めてオオサンショウウオに出会ったのはいつなんだろう?オオサンショウウオとヒト、両者は互いにどんなふうに感じ、どんな関係を築いてきたのだろう。そんなことを知りたくなった、2021年のお正月。
今年のオオサンショウウオ初めは、私の最愛推しサンである、東山動物園のお外水槽オオサンショウウオちゃん(ちなみに女の子だそうです)。オオサンショウウオの体の色はほかの両生類と同じように、周りの環境に合わせて多少変化するそうです←東山動物園でこの子の担当をしてくれている飼育員様に教えていただきました✨。…そういえばアマガエルが、葉っぱの上では緑色、石畳に飛び移ったら霜降りグレーになる瞬間を目撃してめっちゃくちゃ興奮したのを思い出す…!が、このレディは冬、特に綺麗な色をしている印象があります。昨日はお水が澄んでいたこともあるのか、一段と美しいブラウンでした。小さなおめめもくりっとしていて、奇跡の生き物オオサンショウウオの魅力をあらためて堪能させていただきました。
「山椒魚戦争」文学の中の山椒魚
全国のオオサンショウウオ好きが集う団体、「日本オオサンショウウオの会」をご存じでしょうか。
https://www.giantsalamander.net/
オオサンショウウオの保護活動や研究調査をしている人たち、動物園や水族館でオオサンショウウオ飼育に関わる人たち、そしてオオサンショウウオが暮らす河川の工事や行政にかかわる人など、様々な立場の「これからのオオサンショウウオとの接し方を真面目に考える人たち」が、気軽に情報交換できる場となることを目的として発足された会です。
学会などとは違い、これからのオオサンショウウオとの接し方を真面目に考える人であれば、学者さんや飼育員さんじゃなくても、一般のオオサンショウウオファンでも入会できる素敵な会。ちなみに年会費は1000円です。
2013年夏に京都水族館でオオサンショウウオという生き物に一目ぼれして以来、各地の水族館や動物園でオオサンショウウオがいれば必ず見たり、両生類の図鑑を買って眺めたり、近所の東山動物園のオオサンショウウオを毎週のように見に行ったりと、夫とふたりだけでオオサンショウウオを愛でていたのですが、
古生物好きの妹(イラストレーター・恐竜倶楽部会員)に、「オオサンショウウオにはファンクラブとかないのかな?」と言われて探してみるうちに、2017年秋、たどり着いたのがこの会でした。
日本オオサンショウウオの会は、毎年10月ごろに「全国大会」を開催しています。
#ちなみに2020年は、10/16~18、兵庫県朝来市での開催が決まっています^^詳細は夏ごろ発表とのこと!!会員じゃなくても参加できるし、当日会場で入会手続きすることもできますよ😊
私は2017年、鳥取県南部町での大会に初参加し、2018年の琵琶湖大会では初めての物販ブース参加をし、そして2019年、岡山県真庭市での大会では物販に加えて、念願のポスター発表をさせていただきました。テーマは以前から温めていた「文学の中の山椒魚」。物語に登場する山椒魚といえば、教科書にも載っていた井伏鱒二の名作を思い浮かべる方も多いと思いますが、オオサンショウウオが出てくる小説、実はほかにもあるんです。今回取り上げたのはチェコの大作家カレル・チャペックの長編SF傑作、「山椒魚戦争」です。
数年前、オオサンショウウオのファンになったばかりの私に「面白いぞ」と父がくれた一冊の本。それが、チェコ語からの完訳版「山椒魚戦争」岩波文庫でした。
物語の舞台はチャペックが生きた、第二次世界大戦前の、ナチスが台頭してきた時代です。
南海の秘境でオランダ商船の船長に発見された架空の海生山椒魚「アンドリアス・ショイフツェリ」が、素直でおとなしい性質と高い知能によって人間の文明社会に適応し、人間の労働を肩代わりするようになっていきます。各国の人間たちは互いに牽制しあいながら山椒魚を利用して自国の利益を拡大しますが、やがて数が増え過ぎた山椒魚たちは、棲む場所を求めて、人間の住む陸地を沈め始めます…
この作品は1936年に発表され、その2年後には作者チャペックが病死、翌年1939年に第二次世界大戦がはじまると、チャペックの祖国チェコを侵略したナチスによって発禁処分となります。ナチスをはじめとする民族主義を風刺する内容だからです。
そのような状況で、自身の身を危険にさらしながら(現にチャペックが亡くなったことを知らずにナチスは真っ先に彼を逮捕しに自宅まで来ていますし、カレルの兄である画家ヨゼフ・チャペックは強制収容所で亡くなっています)書かれたこの作品。
緊迫した時代に書かれた終末物語でありながら、この物語には全編を通して、何とも言えないユーモアと悲哀と愛らしさがあふれていて、私にはその理由が、主人公がほかならぬ「人間サイズの山椒魚」であるからだとしか思えないのです。
山椒魚のかわいいシーンに萌えるだけでも読む価値のあるこの小説を、オオサンショウウオの会に来場する皆様に、かわいいオオサンショウウオシーンだけでもみてほしい…そして数々の名シーンをイラストにしてもらうことはできないだろうか……
そんな思いでイラストレーター・彩乃さん(妹)に持ち掛けたところ快諾していただけて、かわいいシーンのイラスト入りの素敵な布ポスターが完成しました!!!!!イラストをもっと大きく見たいですか?…ですよね!!!!!!
物語そのものは、前述したように、架空の山椒魚に人間の姿を演じさせて描いた終末SFで、その後の第二次世界大戦→冷戦、という歴史の流れを考えると、チャペックの慧眼と人間の愚かさ加減を実感してしまうのですが、
チャペックが、「人間が自ら創り出したものによって滅亡に追い込まれる」ことを予見して警告していたことは確かだと思います。しかしこの作品でチャペックが伝えているのは、「自分さえ、自分の国さえよければいい」と自分たちの利益だけを守り広げようとしているうちに、潰し合いになってみんな滅びてしまう危険についての警告です。
科学技術の発展は素晴らしい、人類の叡智だと私は思います。電気のなかった昔に戻ることはできないし、インターネットのおかげで生き方も変わって、自分にとっては世界はより楽しいものになりました。そのかげで失われていくものがあって、もしも、この美しく魅惑的な生き物、オオサンショウウオがそういうものの一つだとしたら、まだ間に合うから、人間の良いところを、彼らと共存するために、守るために発揮したいと思うのです。。。
【旅行記】湯原温泉郷②:はんざきセンターとはんざき大明神、そして…
はんざきセンターへの道すがら、オーナーさんが話してくれたのが、この地方に伝わる「大はんざき」についての伝説。
昔このあたりには人間を食べてしまう大はんざきがいて、村の若者が退治したところ、この若者の一家がみんな死んでしまったそうな。これは大はんざきの祟りだ!ということで、村人たちは祠を作って大はんざきを祀り、祟りを鎮めたのだとか。それがこの、
はんざき大明神!!
今では人々の願いを叶えてくれたり、運勢を占ってくれたりと、人間にとって優しい大明神になっているようです。
みんなに畏れられる存在だから、そしてとても大きいから、だから湯原のはんざきイラストは、ちょっぴりおどろおどろしい感じさえある、迫力あるはんざきなのね。ふだんはキュートなオオサンショウウオキャラクターに慣れ親しんでいるので新鮮。少し怖いところも、オオサンショウウオの魅力だよね。
さてさて、神さまとしてのはんざき、街中にあふれるはんざき、そういういわば概念としてのはんざき?で満たされた心がこんどは、
実体としてのオオサンショウウオを求めているーーーーー(●´ω`●)
そんなニーズに思いっきり応えてくれるのが、ここ、はんざきセンターです!!!!!ついにやって来たぜよ〜!!!!!!!
きれいな水槽に元気なオオサンショウウオ、湯原ならではの豊富な資料、ここはオオサンショウウオの城です(๑>◡<๑)オオサンショウウオファンのみなさまには、ぜひ現地に足を運んで、見てほしいです!
そしてこの敷地内には、
じゃーーーーーん!この方々の巣穴があるのです!!大はんざきのお神輿、はんざき太郎さんとはんざき花子さん(๑>◡<๑)
伝説の大はんざき並みの大きさ、巨大ハンバーグみたいな平たい顔のお二方。
おふたりは毎年8月8日の、岡山が誇るもんげーお祭り、はんざき祭りで大活躍するのです。
そしてこちらの、はんざきねぶたも。
柵の隙間から見える真っ赤なお口が、迫力…!
はんざき祭りの夜、あやしく光り輝く大ねぶたを想像して、さぶもうっとり…
【旅行記】湯原温泉郷①:町じゅうにあふれる名湯とはんざき
前回のブログ更新が昨年末であることに驚愕!見てくれている方ありがとうございます。私もさぶも元気に生きてます。
ここ半年の間に、素敵な場所にたくさん出かけました。少し前の話になりますが、ひとつずつ思い出しながら書いていきます。
毎年GWには夫と二人で旅をします。二人そろってペーパードライバーなので、電車とバスの旅。せわしないことや人混みが苦手なので、一年のうちで最も混雑を極める数日間に、わちゃわちゃしたところに行くのは避けて、ゆったりのんびりしたい。かといって、リラックスだけではなく好奇心も満たしたい、そしておいしいものは絶対食べたい!ということでこれまでのGWには、近鉄乗り放題チケット「まわりゃんせ」を買って鳥羽・伊勢志摩を満喫したり、新幹線と在来線を組み合わせて四国をのんびり回ったりして、充実した休日を過ごしました。そして今年の旅先は、私が長年気になり続けていた、岡山県真庭市の湯原温泉郷!!岡山まで新幹線で行って、そこからはバスを乗り継いで行けます。
この町には「はんざき大明神」が祀られており、毎年8月に、巨大なはんざきをかたどった山車やねぶたが出動する、その名も「はんざき祭り」が開かれて町中がはんざき一色に染まるのだとか。
…といわれても、「はんざきって何?」ってなりますよね。はんざきとは、この地域で使われているオオサンショウウオの呼称で、語源は「体が半分に裂けても生きているほど生命力が強い」からとも、「口を開けると半分に裂けているように見えるから」とも。小さいころ、美女がマスクをとると口が裂けている「口裂け女」というおばけの怪談を聞いてふるえましたが、ヒトだとこわいけどオオサンショウウオだとかわいいので不思議。ちなみに私は人間においても、キャメロン・ディアスとか篠原涼子とかのような、目と目の間が少し離れていて口が横に大きいタイプの顔立ちの美人が好きなのですが、オオサンショウウオ好きと関係あるのかなあ?とはいえいくら生命力が強くても、体が半分に裂けたらさすがに無理だと思いますので裂いてはなりません。ぬまがさワタリさんの、こちらのウパさんのツッコミが大変すばらしいです(こちらは湯原ではなく、京都水族館でのイベントでの展示です)。
5月2日、仕事を終えたあと夜の新幹線で岡山入りし、岡山駅前のビジネスホテルに宿泊。当日は雨模様でしたが、駅前広場にあった水のモニュメント的なものが幻想的できれいでした。毎年この時期の気温変化に弱い私はじゃっかん風邪気味…駅からホテルに向かう途中に通った商店街の薬局に閉店間際にもかかわらずかけこみ(シャッター閉まりかけてるのにほとんど押し入った)、すでに片付けが済んでいた棚を再度開けて風邪薬を売ってもらいました。ごめんなさい。ちなみにこの薬がよく効いて、三日間の旅を満喫できました。ありがたやありがたや。
そして朝、岡山駅ロータリーのバス乗り場から、真庭方面行きのバスに乗車。雨が上がってくれていてうれしくなります。同じ乗り場から別の行先に向かうバスも出るので、うっかり乗り間違えるのではないかとドキドキしていましたが、乗車時刻が近づくとバス会社のスタッフさんがやってきて乗車整理をしてくれました。ひとまずこのバスで中国勝山まで行けます。
バスは座席も広々として快適。中国勝山で降りたら今度は「コミュニティバスまにわくん」という地域バスの蒜山高原方面行きに乗って湯原温泉方面に向かいます。乗り継ぎは難しくなく、降りたバス停の待合所(ちゃんとした建物でお手洗いもあります)でそのまま待っていればいいので安心。旅先でのバスは間違えると次のまで数時間あったりしてその日の予定が台無しになる危険をはらんでいるため緊張します。
窓の外には美しい緑、上流にオオサンショウウオがいそうな感じが猛烈にする川、そして人々の暮らしが見えます。バス停「湯原温泉郷」でバスを降りると、温泉街の案内図が描かれた大きな看板。いきなり目に飛び込んできた、迫力あるはんざきのイラストに、テンションが大幅に上がります。
イラストのはんざきさん、さぶとは違ってずいぶん大きくて、ちょっぴりこわそうな印象?迫力ありますね。この理由はのちほど。
この日はこどもの日の直前だったので、街の中を流れる川にこいのぼりが…?
あれ?よく見ると…
色とりどりの、はんざきのぼりじゃないですかーーーーーー!!
手湯足湯にもこんな子たちがいるし!!!!!
さすがははんざきの町。われわれの期待は裏切られなかった!
まずは本日の宿泊先「プチホテルゆばらリゾート」さんにご挨拶をして、荷物を預かっていただき、それから街歩きをすることに。
こちらの公式サイトのこだわりっぷりに心惹かれてこちらに決めました。
お昼ごはんがまだだったので、ガイドブックでチェックしていた「喫茶サボテン」さんに行き、看板メニューのホットケーキをいただきます♪お店に貼られている手作りっぽい貼り紙にもしっかりはんざき君が。ちゃんと手の指四本、足の指五本になってる。こういうの大好き。
こちらが楽しみにしていたホットケーキ♡やさしいお味で、懐かしい感じで美味でした~!珈琲も美味しくて、よく合います。
店主さんに、はんざきはどこにすんでいるのか聞いてみると、さっき、はんざきのぼりが泳いでいた大きな川(旭川)の支流である、お店の前の細い川にいるのだとか!ということは今こうしている瞬間にもはんざきが水面に鼻を出して吸って吐く空気を私もほんの少しだけは取り入れたり取り入れられたりしているかもしれないということ。ふおおおおおおお俄然興奮するです!!!
はんざきファンだと伝えると、この近くに「はんざきセンター」があるよと教えてくれて(もちろん今回の旅のメイン目的地ですとも)、はんざきに詳しい地元の方がいらっしゃることも教えてくれました。センターにいらっしゃることも多いそうなのですが、残念ながらこの日はセンターにはいらっしゃらず。次に行ったら会えるかなー。そのときはぜひお話をうかがいたいです。
街のすみずみまで見て回りたくてうずうずしながらサボテンさんをあとにしたとき、夫の携帯に着信。プチホテルゆばらリゾートの方からです。先ほど荷物を預かっていただくときに、このあと、はんざきセンターに歩いていく旨をお話していたところ、なんとオーナーさんが送ってくださるとのこと。名物の、天ぷら油で走るエコカーで、はんざきセンターまでのプチドライブを楽しませていただきました。ちょっとおいしそうな匂いがしたような…気のせい?
【②に続きます】
プールがオオサンショウウオの園!名張市郷土資料館②
名張市郷土資料館が、廃校になった小学校の校舎を利用した建物であることは先に書きました。そして、小学校にはプールがありますよね。使われなくなったプールに今は、
じゃじゃーん!!!およそ150匹のオオサンショウウオズが飼育されています♡
※普段は、プールは水で満たされています。定期的にプールの清掃を行うため、水が抜かれます。写真は水を抜いた状態。オオサンショウウオたちと同じ空間に立つという、夢のような体験をさせていただきました。これ、ちょっと言葉で言い表せない嬉しさがあふれます…。
赤目四十八滝の渓谷を流れる滝川にはオオサンショウウオが生息していますが、京都などと同じく、このあたりでも昔人間が持ち込んだ外来種チュウゴクオオサンショウウオとの交雑が進んでおり、在来種を保全するためにはチュウゴクオオサンショウウオや交雑種オオサンショウウオを隔離する必要があります。交雑種と在来種、見た目だけではどちらなのか分かりません。なので発見されたらとりあえず捕獲して、遺伝子検査をして、交雑種だった場合は川に戻さず、このプールで飼育する、というわけです。
大人のオオサンショウウオは肺呼吸と皮膚呼吸を組み合わせて呼吸をしています。水がないところではもっぱら肺呼吸の出番。京都水族館でも聞いた、あの力強い呼吸音「スーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」が、あちこちからひっきりなしに聞こえてくる…そりゃそうだよねだって150匹もいるんだもの。オオサンショウウオと同じ空気を吸っている。というか私がいま吸った空気には多分オオサンショウウオが吐いた空気もちょっとは含まれてるし逆もまた……うををう!えもいわれぬ幸福感。
そして地面を歩く姿。くねくね。有尾目の名に恥じない美しい立派なしっぽが、陸上では横向きにぺたんとおりて、普段とは違う可愛らしさです。
それではファンにはたまらないラブリー映像をどうぞ!!
今年の貴重映像シリーズ。名張市郷土資料館は廃校になった小学校を利用した建物で、プールで交雑種のオオサンショウウオさんたちを飼育してるさぶ!お掃除のために水が抜かれたプールに、お母さゃんが入らせていただいたさぶよ(*⁰▿⁰*)陸上を歩くオオサンショウウオさん、新たな魅力発見さぶ! pic.twitter.com/9JysqZGmxS
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月30日
タイヤの中にぎゅうぎゅう詰まるのが好きみたいさぶな。カーブと内側の溝がちょうどいいさぶろうか?ちゅるんと出てくる素敵な瞬間を撮影できたさぶ♡ pic.twitter.com/ajOaaItAOM
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月30日
元気にぷくぷく、まるまると育っているさぶね♡さぶとおんなじで、おいしいものをたくさん食べているさぶかな? pic.twitter.com/0mU1pTsTlt
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月30日
お母さゃん、長居しすぎはだめさぶよ!さあ、プールにお水を入れてもらわなきゃさぶね。
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月30日
ほんとはさぶも、ううう…名残惜しかったさぶ… pic.twitter.com/nrM1Ho6NhG
この後はもちろんプールにお水を入れてもらっていました♡
この日は12月22日、冬至の日。25メートルプールにお水がいっぱいになる頃にはもう真っ暗。月明かりに照らされるミステリアスな人魚、ならぬサンショウウオ…と言いたいところですが、この灯りは懐中電灯です^^;
赤目の滝の入口の「日本オオサンショウウオセンター」でオオサンショウウオを好きになったら、ぜひぜひ名張市郷土資料館にも立ち寄ってみてください!館長のぼーちゃんが迎えてくれます♡そして運が良ければ、プールの子たちにも会えるかも!!名張市郷土資料館はオオサンショウウオ天国です♡♡♡
オオサンショウウオが館長!名張市郷土資料館
今年の四月、実家に帰ったときに父がくれた一枚の新聞記事。そこには「オオサンショウウオが三重県名張市の郷土資料館の館長に就任した」という大ニュースが掲載されていました。飼育担当のお兄さんに抱っこされているオオサンショウウオ館長、その名も「ぼーちゃん」の平たいつるんとした顔は、新聞記事のモノクロ写真でもつややかさとかわゆさが伝わってくる、魅力的なお顔。小さく写っているぷにっとした手足も、愛くるしさ抜群です。
ぼーちゃんは名張市内の赤目四十八滝の渓谷を流れる滝川で捕獲され、日本の天然記念物である日本固有種ではなく、外来のチュウゴクオオサンショウウオと日本固有種との交雑種であることがわかったそうです。ぼーちゃんと同じようにこのあたりで発見された交雑種は、日本固有種と隔離するために、廃校になった小学校を改修した名張市郷土資料館の、プールで飼育されています。その数およそ150匹。その中で見事、一匹だけの水槽展示のお仕事に抜擢されたぼーちゃんが、大変な美サンショウウオなのは当然といえば当然ですね。
以来、見たくて見たくてたまらなかったぼーちゃんに、とうとう会うことができましたのでご報告です!!!資料館の二階の奥の部屋に、館長室はあります。夕暮れ時の、清らかな静けさの中、透き通った壁の向こうに館長のお姿が…文字通り、ガラス張りの館長室であります。年中無休でぼーっとしているという館長、年の瀬の慌ただしさなどどこ吹く風で、ぼーっとしていらっしゃいます…!
指先の白さがとびきりかわゆい!こんな王道ポーズで、顔をしっかり見せてくれて、ガラス一枚隔ててすぐそばに立っても隠れたりせずにぼーっとしていてくれるなんて、、、感激でございます。
ぼーちゃんの飼育を担当していらっしゃる、郷土資料館の川内さん(新聞記事のお兄さんです)によると、ぼーちゃんはとてもおとなしくて、一般的に気性が荒いといわれている交雑種の中で希有な存在のようです。…しかし!この動画をご覧ください…!!
普段はとってもおとなしいぼーちゃん、ごはんタイムには… #名張市郷土資料館 #ぼーちゃん #オオサンショウウオ pic.twitter.com/RV4k1Tnjpb
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月28日
ごはんタイムのつづき…さぶ…(°▽°)うーん、能あるサンショウウオは素早さを隠すさぶね!!かっこいいさぶ〜〜憧れるさぶなあ♡ #名張市郷土資料館 #ぼーちゃん #オオサンショウウオ pic.twitter.com/AMgrc7KsVa
— さぶ@さんしょううお (@53dewaruika) 2017年12月28日
月給のアジを手渡す大役を体験させていただいたのですが、、お魚をお箸でつまんで水槽の上からそっと水に入れると、すすすすす…と近づいてきたぼーちゃん。視力はあまり良くないといわれていますが、鼻はきくようで、平たい顔の上にぽつんとあいたふたつの鼻孔を、お魚に近づけます。そして、、、それまでのおとなしさからは想像がつかない素早さと力強さで、お魚をハント!!「きっとびっくりしますよー」と川内さんからいわれて、心の準備をしていたにもかかわらず、ぼーちゃんの力の衝撃でお魚を取り落としてしまうほどびっくりしました。すごい力。つまり本気を出せば、これだけの強さがあるっていうことだよね。それなのに普段は穏やかにぼーっとしているなんて、最高にかっこよいではないか。おいら感動。ぼー様についていきたい。
ごはんを食べたぼー様は、その後記念撮影にも応じてくださり、、クリスマス前だったのでサンタのコスプレをしているおおさぶにも何かためになる格言を授けてくださったようでした(どんなお話をしたのか、おおさぶが教えてくれません。そろそろ思春期かなー)。ぼー様、川内様、ありがとうございました…!!
そして、名張市郷土資料館のさらなる魅力は、建物の外にもあるのです…!(続きます)