さぶろぐ

ぬいぐるみサンショウウオ「さぶ」たちの、旅と日常の記録です。

オオサンショウウオ人気の立役者!京都水族館のこと

あれは運命の出会いでした。

2013年8月14日、たまたま京都に行くことになりました。夫の仕事が京都であったので、夏休みの旅行も兼ねて一緒に行くことにしたのです。名古屋から京都は新幹線で45分という近さなのですが、そのころまで私はあまり、関西に行ったことがありませんでした。

 

その前の年にできたばかりの新しい水族館があると知ったのは、ガイドブックで。水族館は大好きなので、近くにあればとりあえず入ります。海のそばでなく、街中に突然ある水族館って面白いな、くらいの気持ちでした。イルカが大好きなので、入館したらすぐにイルカプールに直行しようと思っていました。

 

新しい、民営の水族館らしいおしゃれな建物。入り口を入ってすぐ、その場から動けなくなりました。そこは「京の川」ゾーン。京都市内を流れる鴨川を再現した大きな水槽には、

ウオウオウオウオウオウオウオウオウオウオウオウオウオオオサンショウウオ…!

茶色いどでかい平たい何かが、折り重なる折り重なる……!!

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ゆらゆらゆれて、ぷかーと浮かんでは元の位置に戻る。

折り重なってる下の段の子は、上の誰かが動くたびに、ふまれるけられる。

でも水の中であることと、足がひらひらやわらかそうなこととで、全然痛くなさそう。気にしてなさそう。

時々のそのそと手前に出てきて、あご裏を見せながら水槽のアクリルガラスに手をつく。その手がなんかぷにっとしている。

 


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私たちが動けなくなっている後ろを、人々が「うわ!気持ち悪い」「ぎゃーいっぱいおる」と言いながら通り過ぎていきました。そう、このときは、そういう感想が多かったのです。今ではちょっと信じられないですね。

顔周りにいぼいぼがあって、茶色くて、ぬめっとしていて、しかもでかい。確かにぎょっとするのはわかります。そして、そのぎょっとする、怖さもまた、この子たちの魅力だと、私は思っています。だから今、「気持ち悪い」と言われても、「ふふふ、そうでしょうそうでしょう、素通りできないでしょ、気になるんでしょう」とちょっと誇らしいくらい。

 

ちなみに私自身は、初見から一度も、「グロテスク」とは思いませんでした。小さい頃とかげとか魚が好きで、きんぎょやめだかやかえるを飼ったり庭でつかまえたとかげをピンクの虫かごに入れてどこにでも連れて行ったりしていたので、ぬめっとしてたりこういう感じの生き物に対して自然と心が開いていたことと、2010年ごろから古生物好きの妹に誘われて恐竜展によく行っていたことが大きかったと思います。大学は法学部だったし、当時の仕事は家電マニュアルのライターでした。このように、生き物とは無縁な生活でしたが、こどもの頃に芽生えた「好き」は、小さな炎ながらも消えることなく宿っていたようです。

 

京都水族館にはほかにも魅力的な生き物展示がいっぱいで、お目当てだったイルカショーも、背景が街中というシュールさ&音楽やトレーナーさんの衣装の完成度も高く、イルカたちもかっこよくてとても楽しかったです。館内のカフェで食べたかき氷もおいしかったし、大満足…と言いたいところでしたが、もう一度最初のあの水槽に、戻らずには帰れませんでした。

 

この日二度目のオオサンショウウオ水槽。顔真似もしました。

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観光地でよくある写真サービス、結構撮ってもらって購入するんですが、ここで初めて抱っこさせてもらったこの京都水族館オリジナルオオサンショウウオぬいぐるみ…

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そして最後に立ち寄ったショップで、運命のこの子をお迎え。

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オオサンショウウオぬいぐるみSサイズ…

レジで会計時にスタッフさんが「オオサンショウウオお買い上げ~♪」と叫んだ時にはびっくりしましたが、その後ショップ内にいたスタッフさんが全員で声を合わせて「ありがとうございま~す♪♪」と合唱してくれて感激しました。。。

 

この子は山椒魚大きょうだい「さぶズ」の長男「さんきち」として、今日にいたるまで私の人生の支えとなってくれています。無人島にひとつ持っていくならさんきち。さんきちには私の人生のエッセンスが詰まってるのです~

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大水槽にいるオオサンショウウオたちは、実は交雑種。日本のオオサンショウウオと近縁ながら別の種であるチュウゴクオオサンショウウオを人が高級食材等として持ち込んだのが原因で、鴨川では交雑が進み日本在来種がほとんどいなくなってしまったという、問題をはらんだ存在でもあります。

それでも、水族館でこうして姿を見せてくれるこの子たちが、オオサンショウウオのファンを確実に増やしたのは間違いなく、オオサンショウウオという生き物のプレゼンスを大きく高めてくれたといえるでしょう。

そして京都水族館が次々に繰り出してくれる、オオサンショウウオのキュートな企画と商品たち。。。京都行きたいよ~~~

京都水族館の申請により制定された「9月9日オオサンショウウオの日」、今年も盛り上がりましたね♪ねむリウム幸せだった、今この瞬間にもあの水槽でオオサンショウウオたちが…って思うだけできゅんとする。私は一時間ちょっとで寝落ちしました。。

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ちなみに京都水族館には、日本在来種のオオサンショウウオも一頭います。ここでは孤高の存在ですが、堂々たる威厳を感じます。

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こうしてオオサンショウウオに「一目惚れ」したのですが、その後も気持ちは深まるばかり。オオサンショウウオについていろいろ調べて知るほどに、私にとってオオサンショウウオがなぜこれほど特別なのか、見えてきました。

 

この当時私は、周りの人たちはみんな何か自分のやるべきこと、人生のテーマを見つけて頑張っているのに、私だけがそれを見つけられず怠けていることに、とても強い焦りを感じていました。もちろん色々探したし、これか?と思うものもいくつかありました。が、あと少し何かが足りず、やはり頑張れない…怠け心が勝ってしまう。たぶん、怠けることが私にとってとても大切なことなのだと思います。怠ける時間と引き換えにしてまで頑張ってやり遂げたいことなど、そう簡単に見つからなくて当然だと、今は思います。ただ、当時は時代の空気もあって、流されやすい私は自分を責めてばかり、責める割にはやっぱり怠けたいので、ふたりの自分に板挟み。

 

物心ついてからずっと持ち続けていた「頑張らなきゃいけないのに頑張れない罪悪感」が肥大化して追いかけてきて、あらゆる逃げ道を試したものの逃げられず、もう道がなくなりつつありました。何も成し遂げられず輝けず、人生、完全に失敗した…と常に後悔していました(人には恵まれているので、夫や家族、友達の存在は光でした✨そのことは当時も今も、とてもありがたい、しあわせなことだと思っています。でもいつも助けてもらってばかり、与えてもらってばかりで、逆をできる力が自分にないのって結構つらかったり)。明るく元気で常に前向き、日々時間を無駄にせず、自分の決めた目標に向かって努力を積み上げる、、そんなふうになりたいのに、そうでなければいけないのに、どうして私はそうできないのか。どうしてこんなに怠け者でダメなやつなのか。人生を賭ける目標がなぜ見つからないのか。

 

いうなれば、イルカショーで美しく引き締まった体をきらきら輝かせながらジャンプする、日々トレーニングで新しい技を身に着け磨きをかけていく、あのイルカのようになりたくて、でもなれなくて、、、だってそもそも自分が出たいショーがないんだもの…

 

ところがこちらのオオサンショウウオはしわありぬめぬめ地味な外見、でもよく見るとなんともいえない味がある…あごの裏とか背中の線とか最高に官能的。両生類の中で破格にでかい世界最大級、野生では普段単独行動、省エネ岩陰待ち伏せ型、お気に入りの場所から動かずに目の前に来たものをとりあえず丸のみ、、、でも狩りの瞬間はめちゃくちゃ素早い、繁殖シーズンだけはすごく頑張る、そして本気で泳ぐと速い。変態して肺呼吸になっても基本的にずっと水から出ないで皮膚呼吸の割合が多い、たまに肺呼吸するときはだるそうに水面に出てきて鼻先だけ出してスーーーーーーーーーと呼吸する、、不思議な両生類。

たぶん全然キラキラしてない。イルカみたいなショーとか絶対出ないと思う。トレーニングとかぜーったいしないと思う。なのに異常に、人を惹きつける魅力がある。

こういう生き方もあるのか…と、知れば知るほど惹かれていきました。

 

ヒト以外の生き物に、ヒトの生き方を当てはめて考えるのは、場合によっては良くないと思うのですが、、オオサンショウウオはちょっと特別扱いしても良いような気がしています。なにしろ学名が「Andrias japonicus」、「人のようなもの」というくらいだし…それにヒトが何を言おうと、自分たちに何を勝手に投影しようと、悠久の時を泳いできたオオサンショウウオにとっては、どうだっていいのではないでしょうか。

オオサンショウウオの、この、地味ながらただものではない複合的な魅力が、今多くの人々を惹きつけ始めている現実を思うと、

人間社会もある面においては、良い方向に変化をしてきているのではないか?と、しみじみ嬉しくならずにはいられません。

 

とはいえオオサンショウウオが直面している現実問題は山積み。私も本気をださないと、時間切れになるまえに…!※↓コロナ前です、、マスクは花粉症です。

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